2009年12月16日
色絵菓子鉢
「色絵菓子鉢 草花紋」
器の外と内に色絵付けを施した、陶房の中では少し珍しい作品です。
普段器はまず、素焼きをした後に、内がけといって器の内側部分に先に釉薬をかけ、その後に外側部分を絵付けすることが多いです。
これは外側に絵付けした絵を保護するために(呉須で絵付けをして乾いても、上からうっかり擦ったりすると絵がにじんだり薄くなったりするため)、あらかじめ内側の作業を先に済ませてしまうという事なのです。
この菓子鉢の場合はその順番が異なって、まず素焼きの後に内側に呉須で絵付けをしました。
それから内側に釉薬をかけ、その後に外側に呉須絵付けをします。絵付けの後に外側にも釉薬をかけて本焼きをします。呉須の絵付けのみで仕上げる作品の場合はここで完成です。
この作品にはその後さらに色絵を施しています。
色絵の絵の具は、以前にも描きましたが溶いた片栗粉のような状態です。ガラス質の球面の上に置くように塗ってゆくのですが、これがなかなか根気の必要な作業です。
フラットな状態じゃないと流れてしまうので、器をそのような角度(絵を描こうと思う部分を上に平らにする)で固定し、フラットになる部分だけ作業します。
早く作業しすぎると流れてしまうので、少しずつ塗っては乾かし、乾いたら器の位置を回転させて、常に作業面が上面を向いているようにして作業を行います。なのですごく時間がかかります。
また、塗った部分をうっかり手で触ったりしないように気も使います。このため、日本画と同じように腕や手を置くための台を使って作業する事もあります。
色も焼き上がりと元の色が違うので(この話はまた後日)、色絵の窯から出るまで仕上がりも想像しにくい作品です。それだけにうまく作れた時の喜びは大きいものになります。
Posted by 陶工 at 20:15│Comments(0)
│制作裏話